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リーダブルな文章を書くためのおすすめ書籍3選

文書の分かりにくさは「表現の分かりにくさ」と「文脈の分かりにくさ」に大別できる1。本記事では主に前者の「表現の分かりにくさ」を改善するためにおすすめできる書籍を紹介する。

後者の「文脈の分かりにくさ」は読み手に依存する。日本語としては理解できるが頭に入ってこない文章、が存在するのは直感的に受け入れられるだろう。読み手の前提を把握し、読み手の論点に向かって文章を書く必要があるが、本記事ではここには踏み込まない。

1.理工系のためのよい文章の書き方

www.shoeisha.co.jp

よい文章を書くために必要な全体像がつかめる。原則、文章構成や文の書き方、心得などを説明している。190ページ程度で簡潔にまとまっているのが良い。書いてあることは基本的な内容であり、著者も「どちらかというと学生向けを意識して書いたものである2」と述べているが、多くの社会人にとっても役に立つだろう。

『理科系の作文技術3』も本書同様に文章構成、主題の決め方など、よい文章や論文、レポートを書くために必要な項目を網羅的に解説しているが、冗長と感じている。基本的な文章の書き方を学びたいメンバーには『理工系のためのよい文章の書き方』をすすめたい。

2.日本語作文術

www.chuko.co.jp

特に第一章の「作文術の心得 ―短文道場―」が良い。分かりやすい文を書く技術が学べる。以下のような意識しやすい、あるいは実践しやすい内容が豊富に記載してある。

  • 考えがしっかりまとまっていないから、文が長くなる
  • 「音読」は文章を推敲するときに非常に大切なことである
  • 読みづらい箇所はたいてい文の組み立て方か、言葉づかいに難点がある
  • 分かりやすい文章を書く上でいちばん大切な心構えは「読み手の身になって書け」ということだ
  • ハとガの使い分けは文法的な問題ではなくて、使う人の視点(スタンス)の問題ということだ

3.文章力の基本

www.njg.co.jp

『日本語作文術』の短文道場、あるいは『理科系の作文技術』の第8章(わかりやすく簡潔な表現)をより平易に解説しているような書籍である。悪い例と良い例を示し、改善ポイントは何であるかを解説している。例が豊富でイメージしやすく、入門書として良い。難点は、悪い例がわざとらしいというか、いかにも初心者の文と感じるものが多いことである。『日本語作文術』には「文章指南書がよくやる素人の作例は絶対に使わない。あれはやっている本人はご満悦かもしれないが、一種の弱いものいじめだ」とある。4『文章力の基本』での例はそれに近い。好き嫌いは分かれそうである。


  1. https://blog.tinect.jp/?p=60953
  2. https://twitter.com/kentarofukuchi/status/1594484904766500864
  3. https://www.chuko.co.jp/shinsho/1981/09/100624.html
  4. ちなみに『日本語作文術』でも悪い文を例示し、良い文に改善する方法を紹介している。ただし、例として挙げているのは素人の文章ではなく、横溝正史鈴木大拙といった日本の文豪が書いた文章である。